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第53号:人時付加価値を高めるための「外注・代行」の有効活用法

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「シライ先生、営業代行を使うことについてどう思います?」

 加工業を営むA社長をご支援している時に出てきた一言です。もともと営業部という正式な部はなく、配送担当が営業兼ねるスタイルで経営していたA社。価値創販コンサルティングも進み、受注導線が構築されつつあるときの会話の一節です。

 営業に限らず、ある業務の「外注」「代行」は、リソースの限られた中小企業経営においては有効な資源調達手段です。これは弊社が提唱する「1人粗利の最大化」を目指す価値創販経営においても重要視しています。

 1人粗利を最大化するには、①事業の高付加価値化によってウリモノの利幅を上げながら、②そのビジネスモデルを必要最小人員数で回す組織作りが必要だからです。

 ①と②のどちらが欠けていても、1人粗利を2千万、3千万と増やすことはできません。また、1人粗利が増えなければ利益と賃金を同時に引き上げることもできません。

 外注のメリットは2つあります。1つは社員に高付加価値業務に集中させ、価値の小さな業務/作業を外に出すことで社員の人時付加価値(=1人粗利)を増やせることです。

 もう1つは、業務量の変動に対して人件費を変動費化させることができる点です。上手に活用すれば会社に大きなメリットをもたらしてくれる有効な仕組みになります。

 ところが外注や業務代行の本質を理解せず、誤った用い方をしてしまうと、会社の生み出す付加価値を落としたり、社内に混乱を生じさせ、逆に人時付加価値を下げる可能性があります。

 では外注/代行を利用する際に抑えておかなければならないことは何か?それは「何をやらせるかを明確にしておく」ことです。

「いや、それはそうでしょう」という声が聞こえてきそうです。しかし、もし「営業を代行させる」とか「経理を外注する」という感覚で外注/代行を使うと、多くの場合成果が出ません。ここではA社長が仰った営業代行を例に話を進めます。

 まず「営業」という業務一つとってもその実務は広く深いのです。リスト作り、テレアポ、移動、商談・・・と数え上げればかなりの業務/作業が存在します。

 しかしそれ以上に注意しなければならないことは、「営業」という業務の中に、付加価値の「大きい」業務もあれば「小さい」業務も入り混じっているということです。そして往々にして、付加価値の大きい業務は「思考や判断を伴う業務」であり、付加価値の小さい業務は「作業に近い」業務となります。

 最初に説明したように、付加価値の小さい業務を営業代行に担当させること自体は特段問題ありません。一方で、付加価値の大きい業務を営業代行に担当させるのは、様々な意味で慎重になる必要があります。

 なぜなら付加価値の大きい業務は「思考と判断を伴う業務」だからです。思考と判断を伴う業務とは、それが「自社独自の判断軸を必要とする業務になる」いうことです。

 要するに「自社が自社たるゆえんの判断基準・独自性・独自価値・独自のウリモノを正しく理解していなければ、正しい判断ができない業務」です。

 例えば、「自社の独自価値(独自のウリモノ)が、誰の/どんな強い欲求を/どんな独自のやり方で叶えるのか」といったウリモノの定義を、もし営業代行に任せたらどうなるでしょうか?もはやそれは「貴方の会社の独自価値ではない」はずです。

 いきなり代行で来た人間が簡単に全容を理解できるような定義であれば、恐らくそれは「独自のウリモノ」になっていない可能性が極めて高いです。理由は明快です。それは一般的知識と外部営業マンの視点だけで定義できる、ごくありふれた定義だからです。

 相場対価、原価対価、作業対価での商売をしていくとか、薄利多売経営を目指すならそれでも良いでしょう。

 しかし、高付加価値事業作りを目指す会社が考える本物の「独自価値の定義」とはそのようなものではありません。

 会社の歴史や社内/社外資産に目を向け、それらを絞り出した先にある、顧客の脳天に「それだ!それが欲しかったんだ!」という電撃が走るような定義でなければ、高値で価格主導権を持つ営業はできません。

 同様に、顧客へ渡す販促物や提供書類、営業トークスクリプトなどがなく、営業代行にお任せになっていたらどうでしょうか?

 他所にはない独自価値を売るために、代行で来た営業マンが貴方の会社ならではの独自価値を深く理解して、何をどの順番で伝えればいいかを考えられるでしょうか?

 独自価値に見合った独自性の強い魅力あふれる会社ならではの「売り方」を作れるでしょうか?

 もちろん、そういう優秀な方もいるでしょう。しかしそれであるが故の大きな問題があります。それは「ノウハウが会社に溜まらないこと」です。この問題は軽視するべきではありません。

 もし営業業務の多くを(先に説明した領域含めて)投げていた場合、それによって得られる自社ならではの営業スタイルは、「代行した営業マン個人」に溜まっていきます。

 その営業マンが代行会社を辞めたり、何らかの事情で協力できなくなった場合、事業の生命線である受注活動が止まります。代行会社全てとは申し上げませんが、多くは複数社の案件を扱っている為、「売り物・売り方が全然違うもの」を同じ仕組みで回すことが多いのです。

 そのため引継ぎも込み入ったところまではできないこともあり、後任担当の力量によって売上が大きく変わることがあります。最悪、営業マンがいなくなった途端に貴方の会社と顧客の関係も切れてしまう、ということも十分あり得ます。

 貴方のウリモノに独自性があればあるほど(価格主導権を握れる可能性が高いほど)、必然的にその売り方にも独自性が出ることになり、一般的な営業スタイルでは回せなくなるのです。

 重要なことは外注/代行を利用するときに「何を任せて何を自前でグリップするか」を明確にしておくことです。「独自価値の定義」「販売ストーリー構築」「顧客との関係性維持」「営業フロー(受注導線の設計と運用)」「ツールや書類整備」といった付加価値に直結する業務は基本的に内部でグリップすることです。

 そのうえで、テレアポ・スケジュール立て・訪問・商談・営業記録といった「作業や手足を動かす業務」を中心に代行することです。外注する際は、極力多くの業務/作業について業務基準書を作成していくことも大切です。

 A社長はこの話を聞いた後、次のように仰います。

「付加価値ベースの経営をしていくには、ウリモノ同様に業務の価値についても深く考える必要があるのですね。うちは営業を配送の片手間でやっている会社でしたから、誰かに営業をやってもらえたらもっと売れるんじゃないかと考えていましたが。。。何でも社員にやらせるのではなく、価値を生む業務を特定してそこに社員を当てていく、という考え方が必要なんですね。」

 代行/外注は人時付加価値(1人粗利)を上げていくために、積極的に活用していくべきです。今は一昔前と比較にならないほど簡単に優秀な代行/外注先を見つけることが可能です。

 しかしそれは、自社の貴重な社員を高付加価値業務に割り当てるという、業務の付加価値分解を実践していることが前提です。あなたは、自社の独自価値と高付加価値業務を明らかにし、そこに社員を集中させていますか?代行/外注を上手に使っていますか?

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