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第81号「社長がやりたいことって何ですか?」発言が飛び出す組織の構造的な理由

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「社長がやりたいことって何なのですか?!」メンテ販売業を営むS社の経営会議での一幕です。ここは年度末もせまった頃にS社で開かれた、次年度の経営計画策定に向けた会議の場。その場で営業部長から飛び出したご発言です。

 S社長は各部門責任者に、来年度の目標と方針の策定を求めます。しかし出てくるのは昨対同水準かそれ以下、方針も前年の焼き直しです。卸営業部、技術部、販売促進部、小売販売部、サービス部、総務部、経理部の責任者が集まる中、やがて卸営業部と技術部の間で言い合いが始まります。

 各部門の予算や活動は互いに影響し合うため、日頃蓄積された不満も相まって、相手の内容に対して文句が出始めます。その流れの中で矛先は社長に向き、冒頭の発言に至ります。社長は「いつも言っている」と返しますが、責任者たちは黙り込み、会議は次回へと持ち越されます。

 S社長は「ボトムアップ」を重視し、各責任者が良くなれば会社全体も良くなると考えます。しかしボトムアップは、明確な前提があって初めて機能します。前提が曖昧な状態では、各自が自分の正しさを基準に判断するため、組織は分散します。結果として、全員が動いているにもかかわらず、全体は動かないという状態に陥ります。

 ここで再定義すべきは「部門」という概念です。部門は人の集まりではありません。本来は会社の目的と目標を実現するための手段です。すなわち「機能」です。

 自動車がパーツの集合ではなく機能の集合として設計されるように、組織もまた機能として設計されなければなりません。高出力エンジンにコンフォートタイヤを組み合わせても性能が出ないように、全体設計がなければ組織は機能しません。

 「部門」という言葉は、人や場所といった具体イメージを想起させます。その結果、各部門が独立した存在であるかのような錯覚が生まれます。この錯覚こそが、部門間の対立を生み出す原因です。

 自部門と他部門が相対関係となり、全体ではなく部分の最適を追い始めます。その結果、営業の最適が製造の負担となり、製造の最適がサービス品質を下げるといった構造が生まれます。これは判断ミスではなく、前提設計の問題です。

 弊社はS社長に助言します。「今日から“部門”という言葉を“機能”に置き換えてください」。営業部は営業機能、製造部は製造機能、販売促進部は販売促進機能です。

 この置き換えは単なる表現の問題ではありません。思考の出発点を変えるものです。「部門」という発想では「誰に何をやらせるか」という視点になりますが、「機能」という発想では「何のためにその働きを使うのか」という目的志向の視点に変わります。

 この瞬間、経営者の中に「自分は何を作り上げ、何を達成するためにこれらの機能を持っているのか」という問いが生まれます。これまで「(経営で)やりたいことは言っている」と思っていた内容が、実は部門への要求に過ぎなかったのではないか?という疑問に直面します。この「意志」と「要求」の似て非なる違いに気づくことが、厚利安定事業への転換点になります。

 意志とは全体の方向を定義するものであり、要求とは個別の行動を指示するものです。意志がないまま要求だけが積み上がると、現場は判断基準を持てず、各自の経験や都合で意思決定を行うようになります。その結果、組織は分散し、どれだけ努力しても成果は頭打ちになります。

 言うまでもなく「厚利安定化」「1人粗利最大化」は、部門一単位で作れるものではありません。作る機能、売る機能、支える機能の全てが、1人粗利を引き上げる間接指標それぞれに対して貢献活動をしていくからこそ、一人粗利は上がり、厚利安定化していきます。その連鎖連動メカニズムを設計できるのは、最も高い位置から全体を見渡せる経営者意外にいません。

 各機能がバラバラに動く状態では、1人当たりの粗利は上がりません。1人粗利が上がらないということは、利益も賃金も上がらず、結果として忙しさから抜け出せないということです。

 逆に、1人粗利を高める構造を設計できれば、無理に人を増やさなくても、利益と賃金を引き上げながら、ゆとりのある経営へと移行していきます。つまり、部門を人の集まりとして扱うか、機能として設計するかの違いは、そのまま収益構造と経営の余裕に直結します。

 どんな商品を、どんな顧客に、いくらで提供するのか。この前提を決めるのは経営者の仕事です。営業ではありません。営業がすべきことは、その前提を実現するために営業機能をどう設計するかです。

 同様に、必要な品質や原価水準を決めるのも経営者です。製造部ではありません。製造が担うのは、その条件を満たすために製造機能をどう変えるかです。

 この「どこまでが経営者の決定で、どこからが現場の判断か」という境界が曖昧になると、組織は動かなくなります。同時に、ボトムアップとトップダウンの違いはこの境界線によって機能するかどうかが分かれます。本当のボトムアップとは、全体の目標と方針の実現に向けて、各機能がその専門性の深化拡張において自主的に貢献している姿をいいます。

 厚利安定型の組織は、属人的な頑張りや部分最適の積み上げでは生まれません。1人粗利は、部門の足し算ではなく、全体設計からの「因数分解」によって決まります経営者が数字構造を理解し、指標間の連鎖連動を前提に目標と方針を設計すること、それが現場のボトムアップ力を強くする秘訣です。

 あなたは、1人粗利を引き上げるための全体設計を描いていますか。

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