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第48号:独自価値を価格に転換するうえで克服すべき、「常識」という足枷

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「シライ先生、ウリモノを変えなくても高価格化はできるのですか?」革製品を製造販売するA社長のご発言です。A社はユニークで個性ある革製品を作り、比較的手ごろな価格で販売している製造販売社です。

 A社の独自価値は「職人が製造し、自らそれを売り場で説明して売る」という、文字通り製販一体のユニークな活動にあります。しかし、その営業スタイルについて金融機関から、「製造と販売を分けて専門化しなければならない」と指導されたとのこと。

 その指導の良し悪しについて私はどうこう言う立場ではありません。製販分離は規模の経済を働かせることで製造販売効率を上げていく1つの方法であり、これによって事業を豊かにしていく道も当然あるからです。

 弊社が目指している1人粗利3千万円事業構築は、最小人員数で利幅を重視した事業に変化させていくことで、1人粗利を最大化していくノウハウのご提供になります。粗利率が5割だった事業を6割、7割、8割と上げていきながら、これを少人数で運営できる仕組み作りをお手伝いしています。

 製販分離という方向性に行く前に弊社に相談に来られたA社長。A社長としては、長年やってきたスタイルと真逆の提言をされたことで戸惑いを隠せないようです。しかしここで問題なのは、これまでのスタイルが良かった・悪かったという二元論的な考え方をしてはならないことです。

 A社に起きていた問題は、そのスタイルの良し悪しではありません。真の問題は、そのスタイルが生みだす「価値」を「価格」に反映させていなかったことです。

 会社が提供する価値とは、顧客が受け取る喜びや嬉しさです。その顧客が得られる喜びと提供手法の独自性を、弊社では「独自価値」と呼んでいます。

 顧客が受け取る喜びや嬉しさ、その提供手法は、会社の数だけあります。会社の歴史や資産や能力を深掘りしていけば、独自価値の原石というものが見つかります。

 しかし、そこに大きな価値があると自他ともに認識できていないことが多いのも事実です。A社の場合もそうです。

 その道一筋の職人が丹精込めて製品を作り、それを職人が自ら説明して売る―・・・この製販一体のビジネスプロセスは、生活者に対して大きな価値を提供しています。

 製品にまつわるストーリー、品質、肌触りや香りという感覚を伝えるだけなら販売員でもできます。しかし製作にまつわる魂や細かな工夫、職人が込めた思いといったものは、作った職人でなければ伝えられません。

 その品質に対する確信は、作った職人が直接伝えるからこそ、お客様にとって頼もしいお店となっています。お客様は、本物の職人魂と品質に対する覚悟を感じて革製品を利用します。

 A社の独自価値の本丸はそこであり、それは非常に価値の高いことなのです。その一方で、この業務プロセスは効率には限界があります。大量生産大量消費というモデルを取るわけにはいきません。

 それにも拘らず、量産品とそれほど変わらない価格帯で商品を展開していたのがA社です。

「良いものを安く」という考え方は、どこか自己犠牲に通じるような美徳感があります。商売における基本姿勢のような感じで捉える風潮があることも否めません。

 しかし、これが本当に商売のうえで良い考え方と言えるかといえば、私はNoとお答えしています。

 この風潮の問題は、その根底に「できるだけ沢山のお客さんに使ってもらいたい」という意識が働いていることにあります。それの何が問題かと言えば、「全ての生活者を対象にしようとしている」ということです。製販一体の業務プロセスを続けているのに、「全ての生活者に使ってもらう」というマス展開は、必然的に整合しないのです。

 マス展開を可能にするためには、「大量に作る→製品当たりの固定費を下げる→安価で(誰でも買える価格)売っても利益が出るようにする」という仕組みになっていなければ利益が出ません。必然的に、これは企業規模を大きくし効率を求めていかなければ実現することはありません。

 普及品が価格を下げて展開できるのは、背後にそういうロジック、仕組みがあるから可能なのです。一方で、他所に無いやり方で他所にない価値を提供したいと思うなら、必然的に顧客を選ばなければならないのです。沢山の生活者に売る、という発想を捨て、価値を理解したうえで支払い意思のある方を対象にしていかなければ、ビジネス全体が整合しなくなります。

 だからこそ、自らの独自価値を明確にし、その対価を堂々と付け、その価値の素晴らしさを世の中に問うていく「導線」が必要になります。「誰にでも売る(ために値ごろ価格を付ける)」という考え方も良くありませんが、逆に「分かる人だけに分かってもらえばいい」という考え方も良いとは言えません。それは半ば趣味の延長というものです。

 独自価値の高付加価値販売を実現している会社は、その独自価値を生み出す主体が「今・ここ」にあり、これがどれだけ素晴らしいものであるかを様々な手段を用いてプレゼンする場を設けています。WEB、イベント、販促物、営業活動などあらゆる媒体にメッセージを乗せて、その独自価値を説明する場づくりに熱心です。

 重要なことは、沢山の人に「買ってもらう、契約してもらう」ことではなく、沢山の人たちに「自社の独自価値の素晴らしさを伝える」ことで、価値に対する共感者を増やしていく活動や仕組み作りを重視することです。この情報連鎖網を受注導線といい、自社の独自価値を高め、守り、伝えていく仕組みの中核を占めます。

 自社の独自価値が中心となって、その周りに共感者を集める・・・それこそまさに独自市場の形成そのものであり、価格主導権を握る行為そのものになります。「相場価格を元にして売りやすい値付けにする」という消極的な姿勢では価格主導権も握れなければ、本当の意味で自社の独自価値をお客様に感じてもらうこともできません。

 価格主導権は、自社が台風の目の如く中心に立ち、その価値の素晴らしさを市場に張り巡らした導線網を用いて伝え、共感者を周りに増やしていくことで握ることが可能となります。同時に、その仕組みこそが自社の独自価値を最大限生活者に理解して頂けるノウハウなのです。

 A社長はこの話に真剣に聞き入り、そして自ら気が付かれ、こう仰いました。「ウリモノを変えなくても高価格化できますか?という質問自体が愚問でしたね。元々弊社には他所に無い独自価値があったのに、誰にでも沢山売るために相場比較をしていたことが本当の問題だったと分かりました。」

 あなたは、自社の独自価値を認識していますか?誰にでも買ってもらえるような価格設定をするのではなく、その価値の素晴らしさを高め・守りながら伝えていき、共感者を増やしていく仕組みを構築していますか?

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