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第52号:社員の創意工夫が”ズレている”理由と対策

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「シライ先生、私がいないところで勝手な進め方をしてしまうんです。」サービス業を営むA社長が、少し苛立ちを滲ませながらこう語ります。

「私のいない時間帯や店舗では、スタッフが仕事のやり方を勝手に変えてしまうんです。提供時間は大幅に遅れ、ネットにはクレームの書き込みも出始めていて……。私が現場にいる時には起こらないのに、いなくなった途端に崩れてしまうんです。」

 これは、多くの成長企業が通る“分岐点”です。

 社長が全現場を直接マネジメントできる間は、問題が顕在化しにくい。しかし、組織が広がり、店舗が増え、営業時間が延びれば、社長の「目」と「指示」では支えきれなくなる時が必ず来る。

 この時、明文化された「判断基準」がないと、現場は“その場しのぎの判断”で動くようになります。

 この問題は、弊社が掲げる「1人粗利最大化経営」の本質的な障害になります。仕事のやり方が現場によってバラバラであれば、以下の問題が同時多発的に起きます。

人時付加価値が低下する(同じ時間で生み出す価値に差が出る)
・顧客満足度が揺らぐ(サービス品質のムラ)
・独自価値の伝達がぼやける(ブランドが溶ける)

 これらの影響で、会社は価格比較されやすくなり、高粗利を得にくくなる構造に陥ります。このあたりの論理的説明は、【第11号:高賃金・高収益化社長が実践する「需給バランス」の崩し方】をご覧ください。

 重要なのは、A社のような状態を単なる管理不足と捉えないことです。

 社員が勝手にやり方を変えているのは、裏を返せば「自分なりに工夫をしている」ということです。つまり、創意工夫をする“意欲”はある。しかし、その方向性がズレている・・・多くの場合、彼らの判断基準はこうです。

「自分にとって楽な方法」
「今の状況では、こっちのほうが良いと思う」

 これは、彼らが悪いのではありません。“基準”が存在しないために、「自分基準」で判断するしかない状態に置かれているのです。

 では、どうすべきか?答えは明快です。社員の創意工夫を「正しい方向に導く明確な判断基準」を与えることです。そのためのツールが「業務方針書」です。

 A社は1日の営業時間内に繁閑差があることから、各時間帯によって「準備」「サービス」「営業」等の業務の方針が変わります。

・繁忙時間帯は、サービス提供による時間当たり付加価値をマックスにするための動きを取らなければならない。
・「準備」については限られた時間で、繁忙時間帯対応への切り替えタイミングに応じた進め方が必要になる。
・営業については、ブランドイメージに一貫性を持たせる運用と管理ポイントがある。

 A社長は、以上の諸条件を踏まえたうえで各業務の方針を体系化していきます。普段、社長自身が考えたり指示していることを紙に書き出し、それらを統合・分解したり、それらが独自価値にどのように繋がっているか、どんな目標達成に繋がっているかまで繋げていきます。

 こうして仕上がったA社の業務方針書は、「会社が生み出す独自価値」「各業務の目標と個別方針」が全て繋がっていることを示すものとなります。それは業務を受け持つ社員にとって、どんな判断基準を持って創意工夫することが、どんな目的に繋がっていくのかがイメージできるものとなっています。

 この方針書を手にした社員は、次のように変化していきます。

「この判断基準に沿って工夫すればよい」
「この目標のために、今何を選ぶべきかが分かる」
「自分の行動が、会社の価値づくりに繋がっている実感がある」

 これこそが、「社長の不在時にも方針が不在にならない組織づくり」の要諦です。創意工夫を禁じるのではなく、社長の戦略に沿った“自律的な創意工夫”を促す仕組みです。

 A社は今、方針書を軸に、店舗ごと・時間帯ごとの改善ミーティングを進めています。社長の目が届かない場でも、意図した価値提供が実現されつつあります。

 あなたの会社では、社員に「考えるための基準」を明確に与えていますか?その基準は、社長の目と声が届かない時でも、機能していますか?

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