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第9号:「給料を上げて欲しい」高収益・高賃金社長はどう答えるか

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「シライさん、いつも忙しい時期になると社員から”給料を上げてくれ”と文句が出ます。どう答えたらいいのでしょうか?」

 製造業を営むA社長からの相談です。私はむしろ、社長が普段どうお答えになっているかが気になりお話を伺います。

 A社長は言います。「”だったらもっとイイものを沢山作ってください”と答えていますね。ただ、結局は押し問答しているようなもので何も解決はしていませんが」

 ほとんどの社長は”社員から給料を上げてくれ”、”給料を上げてくれればもっと頑張る”という文句を言われた経験がおありでしょう。社長が売上利益を欲しいのと同じく、社員にとっては給料が利益に該当しますから興味関心の高い部分です。社長に直談判する社員はむしろ少数派で、大多数の社員は心の中で思っているが表立って口に出さない、というのが本当のところでしょう。

 社員がどういう意図でその発言をするのか。忙しさに見合った給料が欲しいとか、もっと自分の頑張りを認めてほしいとか、あるいは同僚と比べて自分の給料に不満、さらには人間関係や多忙さに対する不満の吐け口、、など様々な動機があります。しかし個別の動機については労務管理の範疇で向き合うことはあるにしても、この問題の根本的な原因はそこにあるわけではないのです。では何が真の問題か。それは

「給料水準決定のロジックが不在である」

 ということです。少し考えれば分かることですが、給料というのは経済サイクルの中で生み出される産物であり、本質的に頑張り・意欲・多忙・職場環境などといった”心理性や社会性”の産物でもなければ対価でもないということです。これは給料に限らず会社利益に関しても全く同じことであり、生み出した経済価値、すなわち買い手が認めた価値に対する対価から支払われるわけです。

 給料が経済活動の産物である以上、その決定根拠は数字というロジックで説明できます。説明できますというよりも、逆に数字というロジックで説明ができないならば、経済価値を追求する組織としては成り立たないとさえ言えます。

 社長は、給料水準決定のロジックを示す必要があります。そのためにロジックを考え抜かなければなりません。そしてこれは社員の給料水準ロジックだけではありません。先ほど述べたように、これは会社の利益水準についても呉越同舟の問題なのです。

 簡単に申し上げれば、会社利益も社員給料(人件費)も、会社が稼ぎ出した粗付加価値の配分割合の問題である、ということです。また、社員同士の給料水準差も、簡単に言えば1人1人が稼ぎ出した経済価値に対する配分割合で決まるのです。

 そのロジックは各社が事業実態に合わせて考え抜かなければならないことですが、大きな方向性は次の通りです。

・会社全体の売上がn円増えると、利益と総額人件費の原資(粗利益)はいくら増えるか?
・粗利益に対する利益と総額人件費の配分割合はどの程度にするか?(ここに戦略や投資の方針が表れる)
・各部門は、総粗利益を構成する要素(付加価値やコスト)に対していくら貢献すべきか?
・各人はその構成要素に対していくら貢献すべきか?

 これらの方向性についてロジックを構成できれば、各人がいくらの経済貢献をすれば原資がいくら増え、そこからいくら配分されるので給料はいくらになる、というロジカルな説明が可能となります。

 高収益高賃金組織は、そもそも”給料をもっと増やして欲しい”という発言をする社員が少ない特徴があります。なぜなら、社長が考え抜いた利益と給料を同時に増やすための数値ロジックが普段から頭に入っており、自分たちはどんな成果をどの程度出せば給与水準がどうなっていくかを、社員もまた理屈で理解しているからです。

 社長は決算書を作れる必要はありません。仕分けや税務知識などなくても問題ありません。しかし数字を作りだすロジック、数字が決定されるロジックを知らないことは時に致命的になります。経営はまず経済合理性を追求します。その経済サイクルや分配についてロジックで説明できないことには、高収益高賃金組織を作ることなど到底叶わない願いです。

「あまり数字は強くありません」と仰るA社長にとって、このロジックを作り上げるのは初めてのことです。しかしロジックを組み上げていく中で、A社長には想定していなかった副産物が手に入ります。

「会社利益と社員給料を同時に引き上げるロジックが掴めました。これまでは会社の数字を掴み切れていなかったので漫然と”頑張れ”という掛け声しか掛けられませんでしたが、これなら社員にも夢と目標を持たせられる気がします。」

 A社長の高収益高賃金組織作りが始まりました。

著:白井康嗣

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