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第42号:1人粗利3千万事業に向けた、経営者でなければできない仕事

 先日、都内の展示会に出掛けた時のお話です。燦燦と日が降り注ぐ中、いつもお世話になっている仕事仲間と一緒に、ガラス張りのスタイリッシュなビルの地下へと降りていきます。しばらく二人で近況を離した後、我々は別行動をします。お互いにお互いの「ビジネスを強くしそうな情報」を探してブースを見て回り、人々とお話しをして回ります。

 1人粗利3千万円事業をつくる-それはかつてに比べて遥かに可能性が高まっているように感じます。最先端の展示会にいくと、もはや産業や業種による粗利水準の限界などなく、限界があるとすれば業界内の常識という視野にあることを確信させます。展示会を1人で回っている私は、ある社長の事を思い出していました。

 その社長は福祉事業を営むA社長。A社長との出会いは暫く前になりますが、セミナーの会場で最前列に座って熱心に耳を傾けていた姿を思い出します。そのA社長が、セミナー後の有料個別面談の中で語った言葉です。

「シライ先生、僕はこの業界に詳しい人からの指導は求めていません。業界の事なら僕も大体のことは知っているからです。同質な知識を得たところで何も新しいアイデアは出ません」弊社にご相談に来られる方々はこのような考えをお持ちの方が多いのですが、直接的に言われたことはあまりなかったため、印象に残っています。

 A社長は、コンサルティングの中でもこの姿勢で多くの事を吸収していきます。いや、吸収というよりも、会社が持っている資産や経験と、私がご指導する価値創販理論を、どう掛け合わせたら1人粗利を最大化できる経営モデルになり得るかを、熱心に考えています。

 こういう積極的で未知の知に対する欲求を強く持っている社長に対しては、私も俄然熱が入ります。もちろん全てのお客様に対してプログラムを通じた仕組み作りのご支援をするわけですし、熱量に差はありません。しかし支援中に質問を受ければ受けるほど、私がお伝えする言葉も多くなっていくわけで、A社長が能動的に私からの情報を引き出していったのです。

 そんなA社長は、業界の垣根を超えてAI、IT、科学、人文学、アニメ、教育といった幅広い展示会に出席し、その道の専門家の話を聞きに行っています。一見、無鉄砲に情報収集している情報マニアに見えるかもしれません。しかし単なる情報マニアと、高付加価値事業家との違いは「明確な目標を持ち、自社の持つ資産と、そこから遠いところにある知識を組み合わせて自社のビジネスを強くする」という目的を持って情報を収集している点にあります。

 アイデアの殆どは知識同士の組み合わせです。例えば今や交通系カードが買い物決済カードとして普及してきていますが、これは人の移動とお金の移動を結びつけることで、移動や買い物という「生活」を1本の導線として定義することで生まれ、各社に利益をプラスでもたらしています。

 CMでもおなじみの高級個別ジムは、筋トレ指導という価値に、コーチング支援というビジネス界にある高単価サービスを組み合わせて高額販売を成功させています。

 注目していただきたいのは、いずれも世界を揺るがすような話ーAI技術の大躍進とか、難病を完治する薬の発明などーではないということです。今あるものに、少し遠くにある異なる要素を掛け合わせたことで、既存の何倍もの価値を生み出すサービスが生み出されていて、世の中には世紀の大発明よりむしろそういう「組み合わせ」が大きな価値を生んでいることに気が付いて頂きたいのです。

 遠くの情報とは、決して物理的な遠さがなくても構いません。極端な話、お客様のところに訪問するのでも遠くの情報を得られることがあります。基本的に普段お客様が自社に見せているのは、お客様の状況の1側面だけです。実際にお客様のところに行って行動や話を観察してみれば、普段知ることのできなかった行動、悩み、願望、状況といったものが明らかになります。その中にも自社の付加価値を引き上げられるヒントが潜んでいたりします。

 会社が1人粗利3千万円を超えて豊かになっていくには、会社の稼ぐ力の上限を引き上げる必要があります。稼ぐ力の上限は、業務の仕組みや社員の動きで決まるのではありません。それは事業構造が高付加価値になっているかどうかで決まります。

 言い換えれば、価値あるウリモノを、価値を理解してくれる顧客に対して売れ続ける「仕組み」ができているかどうかで決まります。ウリモノの価値が低かったり(低く見えたり)、価格でしか比較しない顧客だけを相手にしている事業構造では、社員がどんなに頑張っても高収益にはなりません。

 つまり、1人粗利3千万円事業を達成するためには、この事業構造を少しでも儲かるモノに変えていくことが第一の条件になります。そしてそれこそ社長にしかできない独自の仕事になります。会社の基盤となる事業構造を意思決定できるのは社長しかいません。なぜなら会社の将来に対して最大限のコミットをしているのは社長だからです。

 外に出て行って新しい知識を吸収していくために、社長は現場業務を離れなければなりません。その現場業務を現場に任せていくためにも明確な経営方針の打ち出しが必要であり、業務の標準化と決定サイクルの構築、人時付加価値を測定する仕組みが必要になります。

 事業の高付加価値化を目指すなら、展示会はじめ、他業界のオフィスや工場の視察に積極的に参加してみてください。先程お伝えしたように「明確な自社の目標を持ち、自社の持つ資産と、そこから遠いところにある知識を組み合わせて自社のビジネスを強くする」という標語を持ちながら見て回るのです。

 そして得られた情報・知識の中から1~3つ選び、それを自社のビジネスに応用するとしたらどんな活用ができそうかを考え、社長自身の行動計画の中に組み込むのです。思い付いたアイデアを小さく始めてみる、アイデアを紙に書いて構想を膨らませてみる、アイデアを誰かに話してみる、情報の専門家に会いに行く・・・そういった行動に落とし込むことでアイデアの取捨選択と、アイデアの具現化に繋がっていくのです。

 あなたは、自社の領域から遠くにある情報・知識を、明確な目標を持って取りに行っていますか?その情報・知識を小さく活用することから始めていますか?

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