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第35号:利幅の大きい会社が決算書より重視する数字

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「シライ先生、決算書を見ても、正直腑に落ちないことがあるんですよね・・」

 こう切り出されたのは製造業を営むA社長。事業も比較的順調に進んでいる中で、ご自身でも数字の勉強をされている熱心な社長です。応接室のテーブルで向かい合い、高収益構造づくりに取り組む中でのお言葉です。

 詳しく話を伺ってみると、腑に落ちないとは「決算書の数字が何を表しているかは分かるけれど、事業をやってる日々の活動と決算数字の結びつきや、解決に至る大きな発見がこれといって無い」という意味だとのこと。

 社長は製造や営業の現場で起きていることを毎日(直接的にしろ間接的にしろ)見ています。その中で数字の動きが何となく見えています。受注金額がいくらで、受注数がいくらで、社員が何人くらい出社していて、仕入額がどれくらいで・・・といったことを肌感覚で感じています。

 しかし、いざ決算書というカタチで1年分のまとめ数字を見てみると、会計規則で定められた勘定科目ごとに整理された数字がずらりと並んでいます。そこにA社長が感じた違和感があります。それは、現場で毎日動いているお金や数字の流れに身を置いている感覚からすると、決算結果には納得すれども、日々の流れの中で何をどうしたら良くなっていくのかの強い解決策に結びつかない、という違和感です。

 この感覚は非常に重要な感覚です。決算書を理解できることは勿論必要ですが、決算書を良くしていく、すなわち利益も報酬も大きくしていくためには何がクリティカルな具体策になるのかを、数字から導き出せるようにするには、決算書とは別の仕組みが必要になるのです。

 ご存じの通り、決算書の損益計算には1年間分の累積損益が示され、大きくは「売上」と「費用」に分けられています。年間を通じて生じた全ての売上と費用は、全てが一緒くたにされて勘定科目に押し込まれます。特に「売上」においては、1年間分の全てが「売上高」というたった1つの勘定にまとめられています。

 A社長が感じた違和感の正体は、「日々の活動は、毎日の案件・作番・日販などのデイリー感覚で業務を回しているのに、決算書にはその構造上、デイリー感覚が感じられない。ゆえに決算書とデイリー感覚が結びつかず、収益性を大きく高めるクリティカルな具体策を決算書から見出せない」ということです。

 そうすると、例えば営業利益率がイマイチだから販管費を調整しようとか、売上総利益率が上がらないから原価を改善しよう、という程度の「気付き」で終わってしまうのです。そこから先の「これが利幅を高める急所の具体策だ!」というところまでいかないのです。

 先ほど申し上げた通り、社長は案件や作番の入りや進捗、日々の販売状況など、時間の経過の中で経営を見ています。一方の決算書は期末のまとめを表しています。つまりこの動的な社長感覚と、静的な決算書の間をつなぐ仕組みがないと、高収益構造は作れないのです。

 その仕組みが「カテゴリー別収益管理」です。これは、普段社長が時間経過の中で感じている「案件別・顧客別・作番別・部門別の収益性を可視化する仕組み」で、普段の事業経営で起きている損益の動きをリアルタイムで把握することを可能とする仕組みです。別の言い方をすれば、日々の事業活動の成否を即座に判定することができる仕組みです。

 決算書の数字とは、言ってみればカテゴリー別収益の1年間分の総和です。カテゴリー別収益管理の数字を合算して、企業会計原則で定められた勘定科目にまとめたものが決算書です。つまり総和(決算書)に至った原因は、全てカテゴリー別収益管理の数字の中にあるということです。

 弊社は常に「事業構造の高付加価値化、人時付加価値の最大化が、高収益・高賃金の両立経営を実現する」とお伝えしていますが、会社ごとのやり方(How to Do)を生み出す源泉は、このカテゴリー別収益管理表の中にあります。

 カテゴリー別収益管理表は、顧客や案件ごとの利幅や原因を明らかにしてくれます。決算書からは導き出せない具体的な戦略と戦術を導き出すことができます。この仕組みを用いると、多くの社長が「まさかあの仕事が金食い虫だったとは・・」「なんでこんなに儲かる種に気が付かなかったのか」という驚きの声を上げられます。

 ここに、戦略そのものを高付加価値化に変えてしまう情報が潜んでいるのです。それは、「すでに会社の中にある強み」の結晶であり、丁寧に拾い上げて水を上げれば大きく花を咲かせる種子なのです。これを見つけ出すことができるかどうかで、事業の高付加価値化・人時付加価値の最大化の成否が分かれていきます。

 カテゴリー別収益管理表をどんなカテゴリーで切り分けをすれば良いかは、会社や業種によって最適解が異なります。ただ単に原価が分かればいいという原価計算表であれば、どんな切り口で設計してもいいかもしれません。しかしそれは現場監督や工場長の管理事項であったとしても、経営者の管理事項ではありません。

 重要なことは、事業構造の高付加価値化と人時付加価値の最大化を実現する情報を見つけられる切り口で設計することです。社長の意思決定に必要となる情報を導き出せれば、いつでも高収益・高賃金事業に変えていく道は開けているのです。

 A社は、日々の事業活動の感覚に直結するカテゴリー別収益管理の仕組み作りに取り組みます。その作成途中から、様々な有益な情報を吸収し、意思決定に役立て始めています。

 貴方も、自社ならではの意思決定情報を見つけ出す仕組みを構築していきませんか?

著:白井康嗣

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