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今週のコラム

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第28号:高付加価値サービスの事業化を実現したA社の例

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「シライ先生、例のサービス、売れました!」

 そう喜びをあらわにするのは、家庭向けサービス業を営むA社社長。これまでも自分で数々のユニークなサービスを開発し、社員や協力先を個人宅に派遣して収益を上げていましたが、今回それまでとは毛色の違うサービスを作り、販売に挑戦してきました。

 そのサービスは、これまでの既存サービスに比べ時間単価が2倍する高価格サービスです。これまではどちらかというと「安く・便利な」サービスを展開してきたA社にとって、このサービスの販売が成立したことにより、1つの新しい事業が加わったような、また1つ違うステージに上がった瞬間です。

 私も自分の事のようにうれしく思い、購入したお客様や販売の様子について質問攻めにします。聞けば、これまで全く関わってこなかった新しい顧客が入ってきたようで、事前に想定していた顧客像と合致しているところもあれば、やや意外に感じる面もあったとのこと。受注導線をどう辿ってきたかを確認したところ、これは目論見通りオンラインとオフラインの導線を狙い通り辿ってきてくれたようです。

 まさに事業の面白さはここにあるでしょう。自らのアイデアや技術を高付加価値サービスに変換し、これを必要とする人たちへ売っていき、社会に奉仕しながら自分たちも豊かになる―まして、それがこれまでと比較にならないほどの収益をもたらしてくれる可能性のある事業であれば、事業家としてこれほどワクワクすることはないでしょう。

 もともとアイデアだけはお持ちであったA社長。コンサルティングの初期段階から、この新たな高付加価値サービスを展開していくことには強い拘りを見せていました。こういう強い思いを持った社長との仕事は、私にとっても大きな刺激になります。A社長は数ヵ月続くコンサルティングの中で、数多くの思考・成果物の創造を経て、売れ続ける高付加価値サービス事業の土台を手にしました。

 アイデアを最短で収益に変えていくには、はじめから「事業」を作り上げることにフォーカスすることです。「サービスを作る」ことと「事業をつくる」ことは全く違う概念であり、この違いを押さえておくことは極めて重要です。

 サービスを作るのであれば、アイデアや技能をそのまま提供するだけでもサービスとしては成立します。裸のアイデアや技能をそのまま提供するのでもサービス単体で見れば成立するでしょう。一方、事業を作るとなるとそうはいきません。まず、そもそも「事業づくり」とは何かを定義する必要があります。弊社では「事業づくり」を次のように定義しています。

”事業づくりとは、持続可能な高収益を上げ続けられる型を作っていく活動である”

 事業を発展させていくには、顧客増加と顧客満足を永続的に同時に実現していく仕組みにしなければならない、ということです。この観点に立ち、高単価サービスを儲かる事業として成立させていくには、3つの成立条件があります。

1.コンセプトを具現化する
2.受注導線を設計する
3.増客と顧客満足をスパイラル式に向上させる仕組みをつくる

1.コンセプトを具現化する

 A社長にはじめに取り組んで頂いたことは、そのアイデア・技能・サービスを目に見える価値に具現化することです。残念ながら、どんなに素晴らしいアイデアや技能も、相応の価値があるモノとして認識されなければ高収益になり得ません。

 我々が絶対的に取り組まねばならないことは、その価値がある顧客層にとって唯一無二の独自価値を持った孤高の存在であると、強く認識できるようにしていくことです。ある強い願望をもった顧客の心の中において、自社事業がその大半を占めている状態に持っていくことで、自社を市場における唯一無二の存在にしていくことが必要なのです。

 なぜなら、価格というものは如何なる場合においても「需要と供給のバランス」によって決定されるからです。価格は品質や利便性によって決まるのではありません。もし品質で決まるのであれば、真面目に仕事に打ち込んでいる多くの中小企業が、価格や収益力に悩むはずがありません。

 顧客(需要)に対して、供給側である自社が唯一無二の存在になるということは、需要に対して供給側が極度に少ないという状態を作ることになります。「欲しい・気になる」という強い気持ちを持つ需要者が増え、それを提供できる独自価値を持っているのが自社だけであれば、販売価格を自社でコントロールできるようになります。どんなに競争の激しい業界であっても、我々は少しでもこの状態に近づけるように知恵を出し、独自価値が目に見える形に具現化していくのです。

2.受注導線を設計する

 次にA社長に取り組んで頂いたことは、受注導線の設計です。事業として成立させていくには、当たり前のことながらこのサービスを売っていかなければなりません。しかし「売る」ことを考えるだけでは高付加価値事業としては成り立ちません。高単価サービスを売っていくのに必要な視点は「価値を高め・守り・伝えながら売れ続ける仕組みを構築する」ことになります。

 この定義は非常に重要です。この定義を忘れてしまうと、「サービス」と「販売」を別物として扱ってしまう危険があります。安物を売っているのであればそれでも特段問題ないでしょう。安物を売るために特売や無料サービスで引き付けてもそれは問題ありません。

 しかし高付加価値サービスを高単価で売っていくにあたっては、サービスの価値と販売のあり方を密接に結びつける必要があります。そうしないと、サービス認知から成約に至るまでの販売導線の最中に、誤った戦略やメッセージでサービスの価値を落としてしまい、望む価格で受注出来なくなる可能性が高くなるからです。例えば、住宅展示場にメロンプレゼントで生活者を呼び込むような受注導線は、価値を高める販売という意味では明らかに失敗です。

 サービスの高い価値を確実に守りつつ、販売活動すればするほど価値が高まっていく受注導線設計の設計は、サービスコンセプトの具現化と両輪をなす事業作りの柱になります。

3.増客と顧客満足をスパイラル式に向上させる仕組みをつくる

 次にA社長に取り組んで頂いたことは、設計したサービスコンセプトと受注導線を回して改良し続け、サービス提供品質を安定させていく仕組み作りです。A社長が構想したサービスコンセプトも受注導線も、社員や協力先がこれを意図通りに運用し、さらに改良して、顧客増加と顧客満足の両方を同時に引き上げていく仕組みが必要です。

 この運用の仕組みを作っておかないと、いつまでたってもA社長が自分で受注活動をしたりサービス提供しに行かなくてはならなくなります。また、サービスコンセプトに合った改善を社員が実施し、現場の声を吸い上げて社長の次なる意思決定に活かしていけなければ、サービスをより満足度の高いものに改良していくことができません。

 この仕組みを作ったおかげで、冒頭に述べたようにA社長は、当初想定していた顧客とは違う顧客が入ってきていることにすぐに気が付くことが出来たのです。戦略はある意味仮説段階であり、実施しながら調整をしていくことで顧客増加を顧客満足をスパイラル式に獲得していくことが出来るようになります。

 現場業務を、サービス価値に見合ったものとして標準化し、より効率的に実施できるようにしていけば、会社の収益力も高まっていきます。A社長は、業務に関する方針を1つずつ決定し、業務マニュアルの策定を部下に依頼します。

「売れるとは思っていましたけど、こんなに高いものが実際に売れていくのを見ていると、自分でも不思議な感覚がします。本当に利用してくれる人がいるんだ、と」

 A社長は喜びを嚙みしめるとともに、次のステージに向けて走り出します。

 あなたの会社の持つ技術技能は、本当に今の価格で売り続けることが妥当ですか?あなたは、自社の技術技能を昇華させ、高付加価値事業として展開しようとしていますか?

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