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今週のコラム

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第40号:1人粗利3千万円事業を目指す組織が持っている「習慣」とは

「シライ先生、景気や需要変動に振り回される経営はもうたくさんです」こう切り出されたのは産業用設備を扱うA社長です。私と社長は、工場の中を回りながら注残情報や生産計画を確認します。そして工場を抜けた社屋1階にある会議室でお話を続けます。

「前回先生にお伺いしたように、弊社には設備製造販売の他に、メンテナンスサービスがあります。これは客先に出向いて色々なニーズを聞きながら進めて行くため、技術力だけでなく高いホスピタリティも必要な仕事です。幸い、その点ではうちのサービスマンは評価されています」

 A社には大きく二つの事業があります。1つは産業設備の製造、もう1つは設備のメンテナンスサービスです。売上は設備製造の方が圧倒的に多いものの、これが需要変動によって販売量が大きく左右される業界にいます。

 A社長としても、コンサルティングを開始する前から、完成品の需要変動を吸収するには「メンテナンスサービスを軸とした何か」に本腰を入れていくべきだという認識を持っておられます。実現していくための目標値と計画も持っています。しかしなかなかそれが形にならないまま年月が過ぎていました。そしてA社長は仰います。「目標や計画をつくっても、その通りにはならないのが常ですね」

 やるべきことは分かっているのに、それが形になっていかない―ある意味これは、やるべきことを見つける以上の困難を伴います。上手くいく道筋や注力すべきことが見えていても、それを組織が実装に向けて行動できなければ、文字通り絵にかいた餅にしかなりません。

 明確な目標を持って計画を立てることは、豊かな事業を作るうえで絶対に必要不可欠な第1要素です。理由は明快です。「行き先」が分からない中での航海は遭難か、良くて現状維持にしかならないからです。

 右に行くか左に行くかが決まっていないということは、何かを意思決定する判断基準がないということを意味します。いつまでに、売上を、1人粗利を、賃金水準を、役員報酬を、経常利益を、いくらにする」という明確で揺るぎない目標なしに行動を決めていたら、その行動の行く末は運任せであるとしか言えないでしょう。

 しかし、じゃあ目標と計画さえ立てていれば全て上手くいくのかと言えば当然そんなことはありません。目標と計画がない行動は無謀ですが、逆に行動のない目標と計画は空理空論以外の何物でもありません。極めて当たり前のことを申し上げていますが、目標実現のために行動を起こし、事業を具現化させていき、問題解決を図らなければ、実態ある富が生まれてくるはずがありません。

 ましてそれが、既存の事業を大きく変えるような目標、あるいは1人粗利を何倍にも引き上げていくような大きな目標であれば尚更です。このような大きな目標と計画には、ある特徴があります。

 それは「先延ばしされやすい」ということです。今のままでは変わらないという危機感がありつつも、今の仕事を回さなければならない中で、目標と計画が日々の仕事の中に落とし込まれて行かないのです。そして1週間経ち、1か月経ち、1年が経ち、やがて目標と計画があったこと自体を忘れてしまう、なんてこともあったりします。

 そうなる理由もまた単純です。習慣化されていないのです。新たな目標と計画が、日々の仕事の中に習慣として根付いていないのです。いま、組織の習慣になっていることは、昔からやってきた繰り返し業務や慣習の蓄積です。それは長年積み重ねられてきたものであり、強力な慣性が働いています。少しの事では動じない、泰山のごとく組織に構えている動かしがたい習慣です。

 新しい目標を実現していくための新しい習慣を、組織にプログラムしていく必要があります。という話をすると、目標自体が大きなものであるために、何か根本的に活動の習慣を変えなければならないのか、と構える方もいます。しかしそうではありません。重要なことは、毎日の仕事の中に、新たな目標実現に繋がっていく行動目標を1つ入れることから小さく始めていくことです。

 もし、5年後に1人粗利3000万円企業を目指すのであれば、1年後には1人粗利1200万円を目指す、そうしたら1か月で100万円の1人粗利が必要になり、1日で5万円の1人粗利が必要になります。もし今の1日1人粗利が3万円ならば、プラス2万円分の粗利を創出すればよいことになります。そのプラス2万円分の粗利創出に繋がっていく1日の行動目標を、毎日の毎朝、始業時間に組み込むのです。

 もしかしたら、今日こなさなければならない生産計画や、行かなければならない予定があるかもしれません。それは今の利益を作るためにやらなければならないことです。

 しかし、それらを額面通りこなすだけなら、額面通りの(今までと同じ)リターンしか生まないことは明らかです。同じ顧客に同じサービスをアプローチしても、得られる利益は昨日と変わりません。レギュラーで流れてくる仕事に昨日と同じようなサービスを提供し続けても、粗利率は変わりません。

 今日は1件、何か昨日とは違うサービスを提案する。今日は1件、新しい人に会いに行き我が社のサービスを提案する。今日は1工程、やり方を工夫してみる。今日は1つ、新サービスのアイデアを紙に書きとめる。今日は1件、値上げを試してみる・・・その1つの行動目標を朝の時間に設定し、実施状況を毎晩チェックする・・・その継続こそが、やがて1人粗利3千万円という、大きな目標実現に会社を導くのです。

 計画の実行フェーズにおいては、特効薬や魔法の薬などないのです。泥臭く地味に見える「正しい仕組み」と「管理ツール」を用いて、1人粗利3千万円稼ぐ組織として相応しい習慣を身に付けていくのです。

 毎日何か1つ、1人粗利を増やしていく行動目標を設定し、その行動を管理することです。経営層や管理職層は、儲かる事業構造、儲かる長期目標設定と計画策定をしたら、速やかにそれを1日の1つの行動目標に落とし込むのです。そして、このサイクルを「仕組み」として組織に埋め込むことこそ、習慣化を加速させていく肝であり、経営者や管理職の大きな役割になります。

 貴方は、大きな目標を実現していくための正しい習慣を、正しいやり方で組織に埋め込んでいますか?

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