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第1号:高収益・高賃金化を実現していくうえでの、新規顧客開拓の意味

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「シライさん、ウチの会社は60年も営業してきて、ようやく資金繰りも落ち着いてきたんです。先代の頃は借金だらけで利益も出せず、いつ潰れるのか?と当時社員だった私からしてもヒヤヒヤしてましたが、社長に就任して20年、ようやくまともな状態になってきました。
 ところが最近、どうも状況が芳しくないのです。顧客の紹介も減っているし、リピートも減っているし、単価も下がっているし、作業台数も上がらない・・・社内を任せている部長に原因を聞いても、どうも的を得ない報告ばかりで・・・。それで少し社内を調べてみたところ、顧客への定期連絡をしていなかったり、商談でのサービス案内をまともにやっていないようなのです。時にはやらなくていいサービスまで無料でやってあげてることもあるようで、まあお客様には喜んでもらえていますがね。
 私が現場でバリバリやっていた頃は、皆も私のやり方でやってくれていたのですが、私も今は外部団体とのお付き合いで社内にいないことが多く、頼みの部長もそんな頼りない感じなので、もう少し社員教育を徹底したいと思っているんですよ。」

 ある自動車関連事業を営む社長からのご相談です。ご自身が社長に就任後、必死の思いで業績を立て直してきたのにもかかわらず、社員のスキル不足や行動に問題があり、教育を充実させて解決したいとの考えをお持ちです。ご自身が現場を駆けずり回ってやってきたからこそ、動きの鈍い社員が気になるところです。

 社長は私に、「組織をどう管理して人をどう教育していけばいいか」を聞きたかったようですが、私は社長の言葉の中で気になる事があり、それを質問します。
 「新規のお客様開拓はどの程度やっておられるのですか?」
 社長は答えます。
 「新規開拓は私が社長に就任してから殆どやっていません。お陰様で、リピートと紹介でお客様を獲得できています」

 紹介やリピートで回る経営-世の中ではこのような経営が理想的だ、という風潮があります。リピートや紹介が生まれるのは、お客様が会社のサービスに心から満足している証であり、リピートと紹介が回れば新規顧客開拓の手間もコストも要らない、故に利益と顧客満足を両立でき、そんな仕事をできている社員も満足度が上がるのだ、と。

 一見もっともな論理に聞こえます。たしかに紹介やリピートはビジネスを発展させるうえで大切な要素です。どんなビジネスでもこれらが発生する仕組みを作ることは必須と言えるでしょう。

 しかし、これはビジネスにおける重要な側面を見落としています。それは「顧客は変化し続けている」という事実です。
 顧客の変化-それは気が付かぬ間に、しかし確実に起きている現象です。消費者であれば年齢が変わる、家族構成が変わる、健康状態が変わる。企業であれば主力事業が変わる、生産拠点が変わる、デジタル化が進む。など、かなりのスピードで確実に変化をしていきます。

 新規顧客開拓をしない会社は、この顧客の変化に気が付くことができません。なぜなら、顧客は自分のステージに商品サービスが合っているうちは使い続けますが、自分が変化していきそれが不要になると、「何も言わず去っていく」か「古いお付き合いで使い続ける」のどちらかの行動を取るからです。リピートに頼っている会社は、こうやって周りの変化に気が付く機会を失うのです。
 うちには紹介で新しい顧客が入ってくる、という意見も聞こえてきそうです。しかし、これも実は周りの変化に気が付けないという意味では全く同じなのです。人が誰かを紹介するときは、自分と近しい状態の知人を紹介します。確かに新規が増えてはいるように見えますが、その人の属性やニーズは紹介者とほとんど同じなのです。そのためこの知人も時間が経過すれば、いずれ黙って去るか古いお付き合いで使い続ける、という行動を取ります。

 こういうと、「いや、顧客の変化ぐらい自分もよく分かっていますよ」という声が聞こえてきます。しかし、新規顧客開拓をしない企業は、感覚的には感じていても「生々しい臨場感」をもってそれを肌身で感じることは絶対にできないのです。

 ここに、顧客の変化に対する「危機」と「チャンス」を見出すのです。そして、いち早く既存とは違う新しい顧客層へアプローチしたり、より大きな顧客の願望を満たす商品サービスを作り出すなどの手を打ち、利幅の大きい「顧客層」と「商品サービス」に事業内容を絶えず変化させているのです。高収益企業は常に顧客の微妙な変化を察知し、徐々に顧客層を入れ替え、新たな顧客層が持つ願望を叶える高い価値を持った商品サービスに、事業の中身を入れ替えているのです。
 新規顧客開拓の本当の効力は、獲得プロセスを通じて顧客の変化を察知し、「より大きな利益を創出できる顧客層」へと顧客を徐々に入れ替えていくことなのです。

 紹介だけ、リピートだけでやっている―聞こえはいいですが、永く商売を続ければ続けるほど、変化する世の中に対して事業の中身は停滞します。それに合わせて組織も停滞します。毎日同じ仕事を同じようにこなす日々が続き、自分たちで仕事の目的や意味を考えて行動することがなくなります。あらゆることがマンネリ化、形がい化し、やがてジリジリと収益力を落としていくことになります。

 今回ご相談された社長は、さすがにご自身で事業を立て直した経験もある方で、このお話をすぐ咀嚼され理解されました。そして次のようにお話しされました。
 「社員教育の問題かと思っていましたが、そもそも事業の中身が儲からないものになっていたのですね。今の状態で社員教育しても、せいぜいもう少し利益が出ていた5年前の業績に戻る程度ということですね。これでは豊かな経営は望めません。これは私の問題ですね。」
 これに対して、私は次のようにお伝えしました。
 「サービスの価値を明確に言語化してください。」
 「それをサービス価格に反映してください。」
 サービスの価値を可視化し、それをもとにして価値を伝えるための販売導線を構築します。また、サービス方針とサービスマニュアルを作り、サービス提供プロセスを標準化します。こうして価値から算段した新たな価格で打ち出したサービスは、これまでとは別の顧客層を呼び込むこととなります。

 まさに「事業の新しいカタチづくり」という、社長にしかできない仕事が始まりました。

著:白井康嗣

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