第30号:高付加価値を生む組織作りの起点は、社長の「願望」である

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「シライ先生、これから新規獲得と価格交渉を進めるにあたって、不安に思っていることがあります。私がすべきことは明確になりましたが、社員がどこまで協力してくれるのか。。当然社員の協力なしにこの改革を進めることはできません。ただ、私が今までと違う動きをしたり、新しいタイプの仕事がどんどん増えてくるとき、社員が対処していけるのか、変わっていけるのか?」
こうご発言されるのはプラスチック関連製品を扱うA社長です。
コンサルティングとは、言わば会社を変えていくための新しい仕組みを入れていくことになります。社長の高付加価値思考を軸として、これを組織に伝播させ、大きな粗利を最小人数で生み出していく仕組み作りと、その運用の仕方をご指導していくことになります。
仕組みを新たにしていくということは、単純な例で言えば、移動手段を自転車から自動車に変えるような感覚です。これまで自転車という構造体を使ってペダルを足でこいで数キロを移動していたやり方から、自動車という構造体を使って運転の仕方を覚え数百キロを移動できるようになる―仕組みが変わることによってこれまでと別の次元で遠くまで移動できるようになります。
コンサルティングの魅力の1つは、このように経営を別の次元に引き上げていく「仕組み」を会社に入れることが出来る点にあるでしょう。
そんな新しい仕組みを会社に入れていくとき、社員の協力を得るということは絶対的に必要な要素になります。これまでと異なる仕組みを1つずつ作っていく中で、当然ながら社長の動きも社員の動きも変わることになります。社長・管理職・社員でどのような役割分担になるかは会社によって違いますが、A社長が想像する通り、もし社員に対して何の通知や共有もなしに改革を進めていけば、その新しい動きに対して疑心暗鬼に思う人がでるでしょう。当然、積極的な協力も得にくい状況となります。
社員の協力を得るには次のステップがあります。
①自らの目標と構想を計画にして発表すること
②発表した計画に対して行動を依頼すること
③社長の方針に対する理解のすり合わせをすること
④確実な実施の仕組みを構築すること
お話していくうちに見えてきたA社長の真意は、「①目標と構想を計画にまとめること」において、それらをどんな判断基準に基づき、どう決めれば良いか漠然としていてハッキリしない、という趣旨です。目標を前年対比で決めれば良いか、どの程度アップさせる目標にすればいいか、あるいは他にロジック的裏付けのある目標を決めればいいのか・・・といった部分への漠然とした疑問です。
ここで考えておくべきことは、その目標に対して責任を持っているのは誰か?ということです。会社全体の目標に対して責任を負っているのは、あなたがオーナー社長であればあなた自身です。
極めて当たり前のことを申し上げているわけですが、これが経営目標設定の全てです。つまり、目標設定の判断基準は「社長の願望」であり、その決め方は「社長の独断で決める」のが正しいあり方になります。
会社目標に責任を持っているのは社長である以上、社長の「ああしたい・こうしたい・こうなりたい」という強い願望こそ、その決定根拠になります。前年対比という考え方自体否定はしませんが、多くの場合、これは「願望ベース」ではなく「過去の延長ベース」や「組織と社員の現状ベース」という後ろ向きの発想がその根本にあったりします。
業界の常識、市場の常識、社員の現状といったものを鑑みて「達成できそうな目標」を立ててしまうことの最大の弊害は、事業の成長が止まることです。今の延長で達成できそうな目標を社長が決定すれば、社員の考えることは「今までと同じことをやる」になります。これを別の表現で”停滞”と言います。
普段から、昨日今日の業務の話ばかりしていて、社長の大きな願望・目標を表出することがなければ、社員が大きな意欲を持って「もっとお客様に奉仕したい・自分たちも豊かになりたい・成長したい」と思うことはありません。もし社員にそうなってほしいと願うなら、社長が自分の大きく・強く・信念にまで高まった願望と目標を持ち、それを言葉にしましょう。
本当に高収益で富に溢れた会社を作り、社長も周りも豊かにしていきたいという願望を持っているのであれば、何としても成し遂げたい大目標の設定において、現実から一回離れる勇気を持つことが必要です。社長の強い願望として、会社をどんな社風にしたいのか?誰のどんな願望成就に奉仕する事業を作り上げるのか、どんな数字(経済価値)を作り上げたいのか?こういった作り上げたい未来を明確に成文化・イメージ化していくのです。
そして、その願望と目標を「いつまでに」実現していくのかをハッキリ定めることです。期日の決まっていない目標は「ただの望み」であり、願望や目標ではありません。
その際、夢・願望・目標の設定において、社員の意見を聞く必要はありません。社長が独断で決めるのです。思いが強ければ強いほど、社員にとっても大きな影響力を与えることになります。その強い願望に”響く”社員が残り、”響かない”社員は去ります。そして新たな”響く”仲間が集まり、こうして会社には社長の願望を起点にした精鋭社員が揃うようになるのです。
オーナー社長にとって、会社はどのような側面から見ても社長のものです。会社は、社会への奉仕を通じて社長の夢を実現するための道具です。その社長の願望・目標を明確に示した上で、夢の実現への協力を社員に依頼するのです。
戦略や戦術、仕組み作りというのは、明確かつ願望に裏打ちされた目標設定があってからの話になります。会社が目指す先、大目標と言えるべきものが決まらなければ、たとえ戦略や仕組みがあったとしても、それは的のない射撃ゲームでハイテク装備をしつらえているのと同じことになります。もし狙いの的が、今の少し延長にある程度の目標であれば、それは何の魅力もない半ば出来レースのようなゲームにしかならないでしょう。
全ての起点は社長の願望なのです。その願望をロジックで語れる必要はありません。もちろん、最低限会社が存続していくための財務目標はあります。しかし、もしそれだけが会社の目標であったとしたら、何とも夢のない話ではないですか?事業を通じて社会に大きな奉仕をし、社長が望む富を手に入れ、社員も豊かになっていく・・・これこそオーナー社長の醍醐味でしょう。
私はA社長に課題を提示したうえで、社員を先導していく機能の全体像と、目標・願望成文化のノウハウを指導します。A社長はお話されます。
「まず自分が会社の将来を明確に描けなければ、社員がどう思うかということなど何も分かりようがありませんね。同じ映像が浮かぶように書く・・・これまでやったことのないことですが、何とか次回までに、成文化してみます。」
A社は、これまでとは1段違うステージへの一歩を踏み出しました。