第31号:高付加価値社長が知るべき、言語化・文書化・映像化

・大好評の「1人粗利3千万円、平均年収1千万円越えの、本気で儲かる会社をつくる5大戦略」(東京開催)受付中。
・ニューセミナー「小さな会社がグローバル大企業越えの利益率・賃金水準を手に入れる5大戦略」(東京開催)受付中。
詳しくはセミナー情報をご覧ください。
●最新刊のご案内
最新エッセンスブック「社員の給料を上げながら、会社の儲けを最大化させる法~ゆったり大らか経営で最高益を更新する6大ポイント~」が発売されました!
Amazonでお買い求めいただけます。
「シライ先生、難しいですね、自分でビジョナリーブックを書いたことがありませんから、どうも無味乾燥な出来になってしまいます」サービス業を営むA社長のご発言です。A社長はそうおっしゃって、書きかけの″経営ビジョン”を私に提示されます。そこには社長が実現したい5年後の数値目標と、業界での立ち位置が書かれています。
ビジョンとは「将来的な会社のありたい姿」と定義されます。ビジョンによって組織を1つの方向に進ませていくことの重要性は、今更説明するまでもないでしょう。当然A社長もそれを強く認識していますし、社長自身もビジョンを持って事業に邁進しておられます。
冒頭のご発言は、高付加価値事業に転換していくビジョナリーブックを策定する中で、お書きになった経営ビジョンに対するご自身の感想です。無味乾燥とは言い得て妙な表現で、A社長に限らず、書いた文書を振返って、そこにあまりエネルギーを感じないというか、事務的な感覚で書かれていることに気が付かれる方も多くいらっしゃいます。そこに「組織を1つにまとめていくパワー」があるのか疑問に思っている状態です。
ビジョナリーブックは、弊社コンサルティングにおいて必ず作成をして頂く成果物の1つになります。ビジョナリーブックは文字通り、会社の将来ビジョンをどうするかを記した文書の束です。これが会社の指針であり、高付加価値・高賃金化への道しるべであり、経営を前に進ませていく最大の武器になります。正しく作られるビジョナリーブックは、会社に関わる多くの人々を動かし、目標達成への協力を取り付けることが可能になります。
私の関わった多くの社長の所感は「これ1つで組織もおカネもコントロールできるようになる」というものです。人を動かす、採用する、資金を獲得する、取引先を説得する・・・社長が作り上げた魂の書は、それだけ強大な影響力を発揮することができます。
しかし、はじめて作成に取り組む際に「事務的な文字と数字の羅列」になってしまうことも少なくありません。たしかにビジョナリーブックも、文字や数字情報の束であることには違いありません。ただ、考え方を間違ったまま作ってしまうと、文字通り本当に「情報の束」という性格の域を出ないものになってしまい、ヒトやお金を動かす武器にならないことも多いのです。
「情報」はそれ単体で人を動かす力はありません。ビジョンを掲げても組織がそこに近づいていかない原因の1つがこれです。では何が足りないのか?それは、まさにビジョンという言葉が示す意味通り「映像化」という概念です。
ビジョンとは直訳すれば「像」です。重要なことは、言語や文字という媒体を通じて、未来像やプロセスが「映像として」頭に浮かぶ状態にすることこそ、ビジョン言語化の目標になります。これは経営ビジョンに限る話ではありません。理念、数値計画、業務方針、役割定義といった思考の産物が、単なる文字や数字の列挙羅列以上の意味を持たないものであれば、それは紙と情報の束でしかなく、人を動かす道具にはなり得ません。
人は、「具体的な映像としての完成形とプロセスをイメージできないこと」に対しては極度に積極性が落ちるのです。500ピースのジグソーパズルを完成絵が分からない状態で完成させるのは、よほどの物好きでない限り完成へのモチベーションを保つことはできません。これとは対照的に、完成絵が分かった状態でパズルを完成させる場合は、スピードも取り組む姿勢も創意工夫への熱意も圧倒的に高まります。
これと同じく、経営ビジョンが「〇〇のリーディングカンパニーを目指す」だけの情報であれば、言っている意味は情報として理解したとしても、社員の頭の中で、リーディングカンパニーになっていく会社や自分たちの姿を映像として捉えるには至りません。そこに自分たちの姿を投影したり、完成形に向かって自らを邁進させる動機は生まれません。
リーディングカンパニーになるのなら、仕事の中身、部門のあり方、社員の取っている動き、顧客との関係性は、今と異なるものになっているはずです。またそのプロセスにおいても大きな変化があるはずです。それらが「映像」として浮かぶ状態にすることで、社員自身が感情を伴う臨場感の中に身を置くことができます。これにより、格段に社員も「あるべき姿に向かって動きやすく」なります。社長の思考が組織に連動し、意図と外れない動きを社員も取れるようになります。
そして、相手の頭に映像を浮かばせるには、大前提として社長や幹部自身の頭の中で明確な映像がなければなりません。言語化する、文書化するという行為は、あるべき状態とプロセスを映像化する行為と言い換えて差し支えありません。
もし社長が、会社を自走する精鋭人材で固めていきたいのであれば、同じ映像を共有するための経営ビジョンや経営方針策定に、相応の時間を掛けることです。情報を羅列した文書ではなく、自らの頭の中に映像を生み出しながら、読み手の頭の中に映像を伴う文書を策定していくのです。
これが、自走型精鋭人材で組織を固めていくための根本にしてはじめのステップとなります。また、弊社が提唱している「社長の高付加価値思考を組織に連動させていく」一丁目一番地になります。
あなたは、自他の頭の中に映像を描くことの重要性に気が付いていますか?あなたの発するメッセージは、映像を伴っていますか?
著:白井康嗣