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今週のコラム

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第102号:売上目標だけでは会社は守れない――「現預金水準と計画」がもたらす経営の真の安心感

今週のコラム100号突破記念講演

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「シライ先生、計画書、作ってみました。今までいったい何を見て事業やっていたのか、ということを思い知らされました。」こうおっしゃるのは建設業を営むA社長です。

 A社長は、自社にとって初めてとなる計画経営を始めています。これまでも「経営計画らしきもの」は作ってきたA社長。しかしどうにもこうにも、作ったものに対しても、その後の実行においても「違和感」を感じていたといいます。

 その違和感を一言で言えば、「自分の行動が変わらない、迷いがなくならない」というものです。計画を作っているはずなのに、判断の軸が定まらない。その正体を探るべく、かつてお作りになられた計画書を拝見しました。

 書いてあることは悪くありません。「事業をこうしていきたい」「社員にはこんなことを期待する」「売上利益はいくらくらいを目指す」――しかし決定的に欠けている要素がありました。これによりA社長の「違和感」の原因がハッキリします。

 それは「目指す現預金水準」の不在です。

 いつの時点でいくらの現預金残高を確保していれば安全と言えるのか?多くの経営計画が形骸化する原因は、実はここにあります。

 なぜ現預金残高の計画が必要か?理由は極めて明快です。確保すべき現預金残高の水準がある程度の確度で担保される数字構造になっていることが、未来に対する大きな安心に繋がり、それがリスクをとった行動を可能とするからです。

 リスクをとった積極投資は、「転んだ場合にも大けがしない程度には生き残れる」という安心感によって生まれます。

 景気が安定しない、受注が読めない、利幅が下がっていくかもしれない――そういった不確実性があってもなお、必要現預金水準を確保できる構造設計こそ、経営計画の土台です。

 言い換えれば、ある程度の確度で上げられるであろう売上高でもって、現預金水準を確保できる構造になっているか?が計画作成の出発点です。

「それでも必要残高を確保できる」という状態が可視化されていることが、経営者にとって非常に大きな安心感と挑戦への後ろ盾になります。

 A社長が感じていた「迷いがなくならない」という違和感は、まさにこの土台の欠如から来ていたのです。

 しかし、これは計画の起点にすぎません。本当に重要なのはここからです。

 その上に、事業成長に向けた投資と追加粗利を上乗せしていきます。販売費や広告宣伝費、給与や採用、設備投資・・・といった攻めの投資です。現預金水準が最重要とは言っても、これらを削って生み出すのは本末転倒であり、事業成長を自ら放棄するのと同じです。

 重要なのは、これらの先行投資をしてもなお、現預金の安定度が保たれる計画にしていくことです。

 攻めの投資を乗せていくと、現預金水準が下がります。これが可視化されていることが重要です。可視化されているからこそ、
 ・無駄な管理費は減らせないか?
 ・投資費用をどこに重点配分したら粗利増加に効くか?
 ・人材をどこに配置すれば無駄が減るか?
 ・ウリモノの価値をどれだけ単価に変換していけるか?
 ――ということを、数字を見ながら方針を練り上げられるのです。

 現預金が絶対的に割り込んではならない水準を守りながら、攻めと守りを同時に設計していく―これが本当の計画経営です。

 A社長は続けます。「これが見えているだけで、ものすごく大きな安心感がありますね。これをやっていけばいい、攻めるところは攻めていい、という自信になります」。

 この言葉こそが、計画経営の本質を表しています。長期視点に立った経済的精神的な安定という後ろ盾こそ、厚利安定経営の中核です。

 あなたは今、成長に必要な厚利安定の土台を築いていますか?本当の計画経営を、すでに進めていますか?

著:白井康嗣

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▼あわせて読みたいコラム
・第98号:現預金水準こそ数字構造が生み出す産物。そこにビジネス導線はつながっているか? https://polyphonia-consulting.com/no-98/
・第93号:経営計画は、混沌とした現実の中で、変わらぬ「重要なこと」を選び取る基準 https://polyphonia-consulting.com/no-93/
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この記事の執筆者:白井康嗣

株式会社ポリフォニアコンサルティング代表。200社以上の中小企業を厚利安定型ビジネスへ導いてきた経営コンサルタント。著書に『中小企業のためのワンダーランド型ビジネスで儲ける法』。金融機関でのセミナー登壇実績多数。詳しいプロフィールはこちら

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