1. HOME
  2. ブログ
  3. 今週のコラム
  4. 第108号:AIで厚利安定を実現する会社と、AIで削られる会社の違い
今週のコラム

今週のコラム

第108号:AIで厚利安定を実現する会社と、AIで削られる会社の違い

●今週のコラム100号突破記念講演

「値上げ経営VS値下げ経営」を開催いたします。この特別な機会に是非ご参加ください。

●最新セミナー情報
・「毎年価格を上げても選ばれ続ける会社の作り方セミナー~中小企業が価格の主導権を握り続けるための5大ポイント~」(東京開催)受付中。
 詳しくはセミナー情報をご覧ください。

●最新刊「中小企業のためのワンダーランド型ビジネスで儲ける法」が発売されました!ぜひお買い求めの上、お読みください。

「シライ先生、AIって使った方がいいんですかね?」こう仰るのは、生活関連事業を営むI社長です。

 大雑把なご質問でしたので背景を確認すると、「そもそもAIで何がどこまでできるのかがイメージつかない」とのこと。

「ビジネスにAIを使っていこう」。こうした掛け声は、いまや毎日のように至る所で見かけます。I社長も、AIが大事らしいということは、重々承知しておられるのです。

 事業戦略の壁打ちや調べものにAIを使っている社長は、多いと思います。社員が業務の中でAIに調べものをさせたり、文章を作らせたりすることも、ある程度は当たり前になってきました。

 それでもなお、「大事なんだろうけど、何かピンとこない」。I社長のように感じておられる中小オーナー社長は、決して少なくないはずです。

 その理由は明快です。社長、つまり事業オーナーに必要なAIの使い方が、情報としてどこからも入ってこないからです。

 勤怠管理が楽になる。メールの文章作成が楽になる。管理業務が楽になる。たしかに、いずれも大切なことでしょう。しかし、それが「事業の業績や安定度」にどう役立つのかが、社長の頭の中で繋がらないのです。

 社長にとっての優先順位は、そこではないはずです。安定的なキャッシュフローを確保する。受注を安定させる。高単価でも売れるサービスを作る。言われずとも動く組織を作る。社長が本当に向き合っているのは、こちらの課題です。

 ところが、こうした課題に対してAIが何をしてくれるのか、となると、急に、世間で騒がれているほどの価値を生むとは思えなくなるのです。

 要するに、AIは社員の業務上の足しにはなっても、社長の武器になるイメージが湧かない、ということです。いくら壁打ちをして戦略を練ったとしても、いざその戦略を実行させようとすると、AIが何をするのか?という話になってしまいます。

 AIの現在地、ということで言えば、いまのAIは、デジタル上で動く作業であれば、そのほぼ全てを「自社専用にカスタマイズされたシステム」として動かせるところまで来ています。厳密に言えば語弊のある言い方ですが、我々中小企業の社長がこれからAIとどう付き合っていくか、という文脈においては、こう捉えて問題ありません。

 いつ、何が、いくつ売れたか。その在庫はどうなっているか。売上と粗利はいくらか。誰が、どんな経路で買ったのか。こうした情報を取得し、入力するといった作業を、人の手を介さずAIが自動で処理する仕組みは、それほど難しくなく作れます。データさえあれば生産計画も半自動で生成できます。

 しかも、既存のITパッケージのように、自社に合わない仕組みに業務を合わせる必要がありません。自社の業務フローに沿って、オリジナルの仕組みを組み上げることができるのです。

 これは、個々に事情の異なる中小企業にとって、極めて重要なことです。弊社は常々、独自性こそが価格主導権の根拠であり、その独自性は、独自の業務や技術の在り方から生まれると申し上げています。

 これまではパッケージを入れれば、業務をそれに合わせざるを得ませんでした。しかしAIによる自社オリジナルのシステムであれば、システムの側を、自社特有の業務フローに合わせることができます。これが、このコラムを書いている時点でのAIの現在地です。

 しかし、です。

 それはあくまで「現場の効率が良くなる」という話であって、これだけの自動化をAIが担ったとしても、なお「社長の課題」からは遠いのです。

 その状態のまま、AI活用を「組織の課題」に据えたとしても、「いつまで経ってもAI活用が進まない」というのが関の山でしょう。IT革命から20年以上が経った今でさえ、多くの会社で「社長の課題解決としてのIT活用」が十分に進んでいないことを考えれば、そうなる可能性は極めて高いのです。

 経理や社内業務が多少効率的になったからといって、「事業の付加価値」が上がるわけではありません。「社長の意思決定の精度」が変わるわけでもありません。

 その間に、AIを「事業そのもの=社長業の補佐」に組み込んでいく会社は、着実に先へ進んでいきます。ハッキリ申し上げれば、社長の立場から事業を豊かにしていくためのAI活用でなければ、組織をAI化していくことはできず、単なる業務改善だけでなく「事業づくり」にAIを活かす会社に、多くの面で差をつけられていくことになるのです。

 ではどうすればよいか。答えは明快です。社長がAIを「社長業のため、事業発展のための”仕組み作り”」のために使うことです。社長がしたくても、時間的・物理的にできなかった「実務」を担わせていくのです。

  •  いつでも価格に手を付けられる、価格主導権を握る仕組み作りに使う
  •  高粗利で売れる先を開拓し続ける仕組みを作るために使う
  •  社長が外部に向けて発信したい情報を、AIが社長の頭脳を搭載したブレーンとして生成し、発信する
  •  現預金水準に直結する社内の数字をリアルタイムで確認し、意思決定の精度を上げていく仕組み作りに使う
  •  社長が知りたい内部の情報を、社長に代わってAIが収集し、分析まで済ませておく
  •  社長が社員に期待する行動を、社長に代わってAIが適正に管理する

 こうした「社長にしか務まらないこと」をAIに担わせられるのは、社長しかいません。社員や業務の一部にAIを使わせても、こういう「事業の付加価値と意思決定の質を上げていく仕組み」が作られることはないのです。

 ここに挙げた実務は、我々のような小さな規模の会社では、社長への負荷が大きすぎて、うまくやれていないのが実際のところでした。社長に代わってそれを実行してくれる存在が、リソースとしていないのです。やらなければならないと分かっていても、手足が足りずにできなかったのです。

 大きな会社の社長には、経営企画室があり、広報があり、人事部があります。社長の頭の中にあるものを、社長に代わって形にする部隊です。中小企業の社長には、それがありませんでした。

 社長が事業でAIを使うということは、まさにこの空白を埋めることです。社長でなければできないこと、社長が必要とする情報を、人を雇って人にやらせる代わりに、AIを雇ってAIにやらせる、ということなのです。

 AIを事業成長に活かすには、組織でAI活用を進めていくことよりも先にすべきことがあります。真っ先にすべきことは、「社長にとって必要な仕事」をAIにサポートさせ、自動化していくことです。社長自らが、「自分の業を強くする」という目的をもってAIに触れ、使いこなすことです。

 そしてそれこそが、厚利安定型のビジネスを構築していくAI活用の、基本的な考え方です。なぜなら、事業の独自価値と価格、そして粗利を決められるのは、社長しかいないからです。

 あなたは、AI活用を社員の業務効率化に任せたままにしていませんか。それとも、社長にしか担えない仕事を支える武器として、AIを自ら雇い入れているでしょうか。

著:白井康嗣

──────────────
▼あわせて読みたいコラム
・第84号:デジタル技術の変革を、ビジネスの厚利安定化に向けてどう取り込むべきか? https://polyphonia-consulting.com/no-84/
・第76号:現場情報から「現場改善」するのは社員の仕事。社長の仕事は、現場情報をもとに「事業改革」を進めること https://polyphonia-consulting.com/no-76/
──────────────

メールマガジン

厚利安定化への着眼点

毎週火曜配信のコラムの他、各種ご案内をお届け中です。ぜひご登録ください(登録無料、解約随時)。

好評セミナー開催中!

厚利安定化を実現する数字駆動の先回り経営実践セミナー

薄利多忙型から厚利安定型へと変えていく実務セミナーを定期開催──少人数制・100%返金保証付き。

セミナーの詳細・お申込みはこちら

書籍のご案内

中小企業のためのワンダーランド型ビジネスで儲ける法

『中小企業のためのワンダーランド型ビジネスで儲ける法』

「忙しいのに儲からない」を抜け出す、厚利安定経営の要点を30分で読めるエッセンスに凝縮。中小企業の社長必読の一冊です。

Amazonで購入する
白井康嗣

この記事の執筆者:白井康嗣

株式会社ポリフォニアコンサルティング代表。200社以上の中小企業を厚利安定型ビジネスへ導いてきた経営コンサルタント。著書に『中小企業のためのワンダーランド型ビジネスで儲ける法』。金融機関でのセミナー登壇実績多数。詳しいプロフィールはこちら

関連記事

トピックス
無料メールマガジン登録

メールマガジン

厚利安定化への着眼点

毎週火曜配信のコラムの他、各種ご案内をお届け中です。ぜひご登録ください(登録無料、解約随時)。