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今週のコラム

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第109号:普及商品を扱う会社が、高額商品を売っていくポイント

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「シライ先生、売上が出ました。ようやく、売りが回り始めました」こう仰るのは、産業用機械を販売するN社長です。

 N社長は、これまでWebサービスの販売を中心に事業を展開してきました。事業が不調というわけではありません。しかし、N社長には「このまま、こういう日銭稼ぎのような事業をしていてもいいのか……」という思いがあります。

 そこで新たに目を付けたのが、産業用機械の販売です。時代背景を考えても、今後需要が伸びていきそうな分野です。事業所の一角にデモ機を設置し、N社長を中心に数名の社員で立ち上げる新規事業です。

 ところが、N社長の当初の思惑とは違うことが起こります。

 もちろん、新規事業は想定外の連続ですから、それ自体は不思議なことではありません。ここで取り上げる想定外とは、大きなトラブルや読み違いのことではありません。地味ながら、事業がなかなか回りにくくなっている原因。それは、既存事業との価格の違いからくる、「商売の回転時間の違い」です。

 既存事業は、数万円から数十万円の価格帯の商品を数多く売っていく商売です。ところが、新たな産業用機械事業は、最低でも数百万円からの販売価格となります。N社は、これまでの数十倍から数百倍の単価で商売をしていくことになったのです。

 会社には、長年の事業の特徴によって決定づけられる「考え方の癖」や「得意不得意」があります。薄利多売商売には薄利多売商売の癖があり、厚利安定商売には厚利安定商売の癖があります。

 販売面における大きな違いは「回転」です。同じ商品を売るのであれば、薄利多売商売の方が回転は速く、厚利安定商売は回転が遅くなります。

 当然といえば当然のことですが、これまでやってこなかった型の商売を追加すると、これが大きな「やりづらさ」を感じさせることになります。

 毎日のようにクルクルと売上が立つ商売に感覚が慣れていると、ある時ドカンと大きな売上が立つ高単価商売を始めても、その成果が出るまでの時間を待てないのです。

 薄利多売型であれば、十分な売上ではなくとも、比較的毎日のように売上が立ちます。その売上を上げていくための検証と改善も進みます。

 一方、高額商品の場合は、ちょろちょろと出る売上というものがありません。ゼロの日も続くのです。

 売れるようになれば、大きな利益を享受できます。1件の粗利が固定経費を一気に回収することもあります。そして、損益分岐点を超えて売れるようになると、1件当たりの売上が利益に大きく貢献するようになります。しかし、そこに至るまでの時間が待てないのです。

 N社長はコンサルティングを受けながら、アプローチリストを整え、営業フローを構築し、独自性の具体化、営業ツールの整備、Web導線の構築を進めていきます。N社の強みを勘案し、まずは法人リストへのテレアポから商談、デモへと進む流れを仕組み化することにしました。

 ここで、高単価商売ならではの「時間感覚」が試されます。

 当然のことながら、最初から順調に売れることは、ほとんどありません。仮説を立て、繰り返し検証と改善を行う中で、徐々に売上が出ていく。これは、どんな商売でも同じです。

 しかし、高価格商売では、売上が上がるまでは売上がゼロです。だからこそ、検証と改善を続けるための時間感覚が重要になるのです。

 N社長は途中で、「テレアポよりも、DMやWeb導線を中心にした方がいいでしょうか?」と質問されます。私はそれに対し、今のテレアポを中心とした売り方を、いち早く仕組み化することを提言します。なぜなら、売上につながっていく指標が、テレアポを起点とした活動の中で、確かに動いていたからです。

 あるリストを試し、営業フローを進める中で、詰まる点から仮説を見直す。仮説をもとに、「刺さる可能性のある」別のリストをまた試す。商談で止まるネックを洗い出し、営業ツールを調整する。そして、そこから生まれた仮説をもとに、別のリストをテスト的に投入する。こうした検証と改善を繰り返していきます。

 その結果、アポイントが取れるリストが更新されていきます。仮説検証によって生み出された「当たる確率の高い事業者の情報」を参照し、AIがアプローチリストを半自動的に作成する仕組みも出来上がっています。また、商談からデモへと進む際のネックを乗り越える流れも構築されてきました。

 1件の重みが薄利商売より大きい分、その1件を深く考え、多くを学び、改善と仮説の調整につなげていく―統計では測れない情報が重要なのです。高額商売では、1件の結果から得られる情報の価値も大きくなります。その情報を次の1件に活かす。この繰り返しが、売れる仕組みを作っていきます。これが高額商売の基本スタンスです。

 回転で稼ぐ商売から単価で稼ぐ商売にシフトしたり、現業に高単価商売を付け加えたりする場合、ノウハウを知っているだけでは十分ではありません。薄利多売とは異なる、商売の回転における「時間感覚の違い」を、社長と組織が乗り越えていく必要があります。

 弊社は、そのための専門ノウハウと、個別事情を考慮した伴走支援によって、クライアントが途中で「諦めない」ための強力な後押しをしています。

著:白井康嗣

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この記事の執筆者:白井康嗣

株式会社ポリフォニアコンサルティング代表。200社以上の中小企業を厚利安定型ビジネスへ導いてきた経営コンサルタント。著書に『中小企業のためのワンダーランド型ビジネスで儲ける法』。金融機関でのセミナー登壇実績多数。詳しいプロフィールはこちら

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